2013年03月02日

署名済み同意文書と説明文書の保存形態

<< 質問 >>320p

質問番号:2012-43 署名済み同意文書と説明文書の保存形態

国際共同治験を実施している治験依頼者Aより、同意文書及び説明文書の取り扱いについて、日本式の「説明文書の原本と同意文書の写しを被験者に提供し、同意文書の原本のみを施設に保管する」ことがICH-GCPの手順に従っていないため、米国FDAによる査察が入った際に指摘される可能性があるので、従来の同意取得時の文書保管方法を変更してほしいとの依頼がありました。

ICH-GCPの4.8.11 によると、同意文書及び説明文書(informed consent form)の写しを被験者に提供することとなっているので、原本は治験責任医師が保存すべきだというのです。

ここでいう「informed consent form」はICH-GCP 1.28に記載されている説明から、日本のGCPでいう「同意文書」ではなく、「説明文書」と「同意文書」が一体となったものという解釈であるとのことです(ICH-GCPでは日本のGCPのように「説明文書」と「同意文書」とには分けておらず、両方が含まれる「informed consent form」としているということ)。


また、治験実施計画書にも、「日付入りの署名がなされたinformed consent formのコピーを被験者に渡すこと」と記載されているので、その原本は実施医療機関で保存してほしいとのことです。

ただ、説明文書を全ページコピーするのは非現実的で、実際の手順としては、説明文書を2部用意し、医療機関に説明文書と同意文書が一体となったものの原本を保存し、被験者には説明文書(2部あるうちの1部)と同意文書の写しをお渡しするということです。


別の国際共同治験の治験依頼者Bでは、治験実施計画書に、「日付入りの署名がされた同意説明文書の原本は治験責任医師が保存し、その写しを被験者に渡す」と記載されていますが、従来の日本式の取り扱い(医療機関には同意文書の原本のみが残る)なので問い合わせてみましたところ、同意文書にはIRBで承認された説明文書の版数が記載
されており、その製本版(冊子)1冊を保存しておけば、被験者に適切な説明文書を用いて説明し提供したことが説明できるので問題ないとの回答をいただきました。


A社の対応についても、説明文書が2部ある時点で、A社のいう「ICH-GCPの手順」に従っていないのではないでしょうか?

A社に他国(例えば米国)ではどのような取り扱いをしているのか伺ったところ、契約書のように、同意文書と説明文書が一体となった2冊の文書に、双方がそれぞれ署名し、各々1部保存しているとのことでした(米国では「複写式の書類」というものが受け入れられないとのこと)。

これも厳密にいえば「ICH-GCPの手順」に従っていないのではないでしょうか?

コピーではないので、双方が保存しているものが同一である証拠はありません。



A社(説明文書が2部ある)、B社(説明文書の原本は被験者に交付するが同意文書に記載された版数で証明できる)どちらの対応も、被験者に渡した説明文書と医療機関に保存している説明文書が絶対同一であるということは言えませんが、それならB社の対応でよいのではないでしょうか(大多数がB社の対応だと思うのですが・・・)。

A社によりますと、実際に指摘されたわけではなく、社内でこのような懸念があるので事前に
対策をしたいとのことです。

米国のように、「ICH-GCPの手順」に従っていない取り扱いでも問題ないのであれば、日本法人からも日本式の対応について説明をし、理解していただくことはできないのでしょうか?

A社の言い分は、原本さえ医療機関に残っていれば、被験者保存分は調査されることはないのでどうでもいい、と言っているかのように感じます。




<< 製薬協の見解 >>

ご質問にも記載されていますように、日本のGCP(GCP省令)では、説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましく(GCP第51条第1項ガイダンス6)、これら説明文書と同意文書の両方が保存対象となります(GCP第41条第2項)ので、規制要件はICH-GCPのそれと同等であると言えます。

しかしながら、説明文書と同意文書(ICH-GCPでいう「informed consent form」)の実際の
保存形態には、国・地域で多少の違いが見られます。

欧米等では説明文書と署名済み同意文書が一体となった形態で保存されることが多く、日本では署名済み同意文書を説明文書から切り離して保存されることが一般的ですが、重要なことは「どのバージョンの説明文書が、同意取得に使用され、被験者へ提供されたかが文書上で明確であるか」だと考えます。


説明文書と署名済み同意文書の原本が一体となった形態での保存以外に、同意取得に使用され被験者へ提供された説明文書(バージョン情報を含む)が同意文書に明記され、治験審査委員会で承認された説明文書と同意文書の見本1セットと署名済み同意文書の原本が保存されていれば、何れもGCP省令のみならずICH-GCPの要件も満たした保存形態であると考えます。


今回のように治験実施計画書に規定がある場合はそちらを遵守いただき、規定がない場合は治験依頼者と協議のうえ対応されることをお勧めいたします。


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posted by ホーライ at 15:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 治験119の問題 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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